大地震(おおなゐ)揺りて 津波寄すれば
ほろびの曠野(あらの)に 風駈けめぐる
黄泉比良坂 黄泉路越え
返り見すれば 遠き産土(うぶすな)
そのかみ星を享(う)けし故郷(ふるさと)
雲湧き上がる 国のまほろば
かの里よ 遠く呼ばえば
何よりも いとしきものよ 天(あめ)が下
禍ツ霊(マガツヒ)ありとも 花はうるわし
山鳴りすれば 坂をかしこみ
海鳴りすれば 波をかしこみ
この世はかくても ありぬべし
山は険しく 谷は深みて
暴れ川さえ あまたあまねし
木洩れ陽 激(しげ)く ふりしきり
危うきものを 命とかなしむ
風吹き乱る ほろびの曠野(あらの)
荒(すさ)び ざわめく 国のまほろば
繁(しじ)に震えて…時空(にわ)を渡れ
黄泉比良坂 黄泉路越え
返り見すれば 遠き産土(うぶすな)
そのかみ星を享(う)けし故郷(ふるさと)
まことの安らい ここに無く
狂える地霊(つち)の うつろいに
禍ツ霊(マガツヒ)ありとも 幸くましませ
かへり見む――いざ 遠き産土(うぶすな)