霧も深き 山奥の
斎(ゆ)つ岩群(いわむら)に 入り日さし
遠(とお)つ神 笑みたまえ
遠(とお)つ神 笑みたまえ
影はゆっくり 流れ出し
闇を漂う 色となり
永遠(とわ)の裂け目に 落ちてゆく――
夜の旅路を 行く者は
舞い降りる 葉影の如く
すべての星と 共鳴しつつ
無限の底を ひるがえる――
地上の森は 宇宙(そら)の一列
生と死の 無限の相剋
回り続ける 小さきものよ
その眼差しは 幾星霜――
光と影は 定め無く
天地(あめつち)境(さかい)を 揺れ動き
我らも知らむ 地球(ほし)のゆるぎを
遥か入り日の 漂う果てに
絶えず湧き鳴る 時の大河よ
空の彼方 海の彼方に すべては流れ過ぎてゆく――
流れ果つ 遠き渚を
なおも延び行く 宇宙(そら)の軌道(みち)
透み明らかなる 生命の 偉大なる樹の かたちして
《無限》の底に 深く繁れ――
限りなく――限りなく 巨(おお)きな旅路
星辰の道より なお遠く――
…現世(うつしよ)は
いとも 小さき 道程の
はかなき 夢の 如くなり…
巡り会い――留(とど)め難くも別れ行く――交差の岸辺
遥かなる友よ――地球(ほし)の影を 伴にせよ
夜の旅 他に道連れ 無き故に
霧も深き 山奥の
斎(ゆ)つ岩群(いわむら)に 影さして
幽(かそ)けくも 清(さや)かなる夜は宿れり
永遠(とこしえ)に 星の軌道が 別れる処
淋しき神は 差し招く
さ迷える魂の いと孤独なる 夜の旅路に――
遠(とお)つ神 笑みたまえ
遠(とお)つ神 笑みたまえ
孤独な旅の 道連れは
夜ごと落ちゆく 地球(ほし)の影…