(男)春や春独り佇み世を渡り今こそ惜しむ暁露を
はるやはる-ひとりたたずみ-よをわたり-いまこそおしむ-あかときつゆを
(女)時数え独り寝る夜不知火の海より来たる人を待ちつつ
ときかぞえ-ひとりねるよる-しらぬひの-うみよりきたる-ひとをまちつつ
(女)夜の彼方海の船影見果つればいと遠白き時の虚しさ
よのかなた-うみのふなかげ-みはつれば-いととおしろき-ときのむなしさ
(男)伊勢の海常世の重浪返す波日尽きるその日逢はむとぞ思ふ
いせのうみ-とこよのしきなみ-かへすなみ-ひつきるそのひ-あはむとぞおもふ
(男)天翔る鳥よと見初め思ひ初め乙女我が枝に寄り寝て通れ
あまがける-とりよとみそめ-おもひそめ-おとめわがえに-よりねてとおれ
(女)君我を見初めと云ひ思ひ初めと云ふ松葉に秋の風吹く
きみわれを-みそめといひ-おもひそめ-といふまつばに-あきのかぜふく
(男)松が枝に天の羽衣見ざりせば我が心安からましものを
まつがえに-あめのはごろも-みざりせば-わがこころ-やすからましものを
(女)一筋の風か雲かや松が枝の身に留まらじ消ゆべき露よ
ひとすじの-かぜか-くもかや-まつがえの-みにとどまらじ-きゆべきつゆよ
(男)遠白き永遠の大河も一滴の露に始まり来たれるものぞ
とおしろき-とわのたいがも-いってきの-つゆにはじまり-きたれるものぞ
フクロウは燃える目をして誘うもの常夜の森の妖し鳥巫女
フクロウは-もえるめをして-さそうもの-とこよのもりの-あやしとりみこ
森うすき遠き異国を伝え聞く蛇が女神を追放せし地と
もりうすき-とおきいこくを-つたえきく-へびがめがみを-ついほうせしちと
いにしえのかの名を知るやフクロウよ神の秘密を我に聞かせよ
いにしえの-かのなをしるや-フクロウよ-かみのひみつを-われにきかせよ