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第一部 ヤツマタ

物語ノ扉
第一部「ヤツマタ」開幕。導入文の内容は、以下のとおり――
…鈴仕込みし異形(アヤカシ)の杖持ちて、
八十道又(ヤソミチマタ)をさすらふ流人(サスラミコ)あり。
上古(かみ)の世より、
八道津彦(ヤチマタヒコ)、八道津姫(ヤチマタヒメ)。裂名門(サクナド)。
あるいは、御裂口(ミシャグチ)、裂奇(サク)。
さらに、祈呪(ノロ)、葬呪(ハフリ)、技呪(ワザオギ)、歌呪(ウタノロ)、云々…
――其れ道々の者を称して、ヤツマタとは云ふらし。――出典『照泉鏡(てるみかがみ)』

解説/ヤツマタ

ヤツマタ――現代において当て字を用いるとすれば、「道々の者」。

発音の似た古語にヤチマタ―― 「天の八衢」 (アメ-ノ-ヤチマタ)――という言葉がある。 道開き、ヤチマタ、と言えば猿田彦である。 この辺りは専門家の詳しい研究が数多く出ているので、興味のある人は調べられたい。 猿田彦の別名は「道分の大神」である。

これは重要な事であるが、職人と呪術師との区別は、かつては無であった (空海伝説に見られるように、井戸掘りや溜め池造成に関わった職人は、呪術師でもあったのは明らかである)。

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