深森の帝國§総目次 §物語ノ本流 〉第二部.第三章(頁.1)

第二部 第三章 頁.1.鏡の行方

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時は七月の初めである。残暑は厳しく、なおも入道雲が高く湧き上がる日々が続いていた――

『照泉鏡』より――七夕は、大陸より伝わりし習俗と云ふ。人の世を彩る技芸の上達を祈る夕べなり。

朝ノ君が住まう棟の縁側では、朝ノ君と鏡との会談の場が、再び設けられていた。 鏡は深々と一礼し、「聖麻鏡をお返しに参りました」と報告する。朝ノ君の鎮座する御簾の前には、 鏡が磨き上げた、あの古鏡が置かれていた。

朝ノ君は御簾の内側から、「ご苦労でしたね、鏡さん」と静かな声で応じて見せた。 そして朝ノ君は、暫し考え深げに沈黙すると、再び口を開いた。 「これは、聖麻の国民が、遠い祖先から受け継ぐもの…聖麻人として、宝物の返還を望むのなら…と、 考えましたが…」

「そなたの考えは…?」と問われた鏡は、複雑な表情をして口ごもるのみであった。


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