深森の帝國§総目次 §物語ノ本流 〉第一部 第八章(頁.1)

第一部 第八章 頁.1.怪しき密談

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詳らかには知らぬが《妖霊星》と云う名を伝え聞くもの。…妖霊星、此れ凶星即ち禍ツ霊を宿す人なりと云う。 或いはまた、災厄の前兆を知らす星とも伝え聞く。しかし、その正しき意義は誰も知らず…『照泉鏡』

宵闇に沈む斎宮、宿直町。斎宮寮頭たる勝間長官の宿直の棟では、ひっそりと火が灯され、 密談が交わされていた。

「賀茂大納言が生きていたとは何という誤算!」と、勝間勝宗長官は憤懣やるかたない様子だ。 「雨竜島の方で、芝賀どの直々に死体を確認したと言うとったが?」…何やら、 カモさんの死亡報告書にまつわる奇妙な陰謀に、この勝間長官も少し関与した様子なのであった。

勝間長官の前には、彼の腹心である定室判官、美宇判官の二人が控えていた。

そして、涼風を入れるため雨戸を開いて御簾だけになっていた縁側の方で、怪しき人の気配も加わっている。 明らかに忍びの者と見える男…「一杯食わされたようです」と、低い声で勝間長官の憤懣に応えた。

奇妙な表情で、御簾の気配の方を見やる定室判官。御簾の外で、忍びの者は言葉を続けた。 「ヤツの神出鬼没は並のものでは無い…非常に強力な守護が付いているとしか思えません」 カモさんの尋常ならざる神出鬼没ぶりには、忍びの者も舌を巻いていた。 「おまけに斎宮の結界もガタガタ…伊多丸も居ないし…余り余裕はありません」 ――これは、カモさんの配下であるハイタカとタスキが、或る呪術を以って斎宮の結界を破り、 一人の衛士を暗殺した事を言っているのである。

※実はその暗殺された衛士(表向き、烏帽子を残して消えてしまったように見える新米の衛士)は、 この忍びの者の仲間である、「伊多丸」なる人物が化けていたのであった。


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