深森の帝國§総目次 §物語ノ本流 〉第一部 第一章(頁.28)

第一部 第一章 頁.28.明け方の鳥辺野の森にて(承前)

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五七調、あるいは七五調…聖歌隊の歌声のように美しくもなく、清らかでもなく…ただ一音一拍の語りと変わらぬのに、 妙に身体の深部へしみとおり、これを揺する――鏡は不思議な感覚を抱いた。

一方、カモさんは、その歌い手の声に感心していた…「あれは名手だな、風のいたくさやぐ最中を…」

目指す茂みの中には、笠を被り布製の蓑をまとう小柄な人物が目の先に立っていた。 その人が、不意にフッとこちらを振り返る。鏡は、その特徴のある切れ長の眼差しとヤツマタの杖を見て、 ハッとする…昨日の夕方、少女の墓の前に居た、「アザミ衆」であった。

小柄なヤツマタは、意味ありげに、鏡に語りかけた――「伊勢においでになるのでしょう…共に連れて頂けますか?」 思いがけない言葉に戸惑う鏡に、ヤツマタは言葉を続けた。「イオ…と申します」(※補足:魚と書いてイオと読ませる)


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