深森の帝國§総目次 §物語ノ本流 〉第一部 第一章(頁.22-23)

第一部 第一章 頁.22-23.旅人を取り巻く事情…そして、運命

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鏡は、自らの事情を語り始めた。「私たちは…大陸の《乾(ケン)》に滅ぼされた、 《聖麻(ショウマ)》という国の出なんです…正しくは、親に当たる世代がそうなのですが」…王国滅亡に伴う、 列島への亡命。現在は、子弟こそ机を並べて花洛の諸々を学ぶ関係になりはしたが、 親世代から引き継いでいる身分制度が尾を引き、妙に関係が混乱してギクシャクしている―― 「世が世なら、あの人は王子殿下です」

「私は…言うべき事を…」そこまで言って、口ごもる鏡である。「ああ…因果な事だな」と、理解を見せるカモさん。 ユカルが王子であるのに対して、鏡は一介の見習い職人である。

「…あッ、それで分かった…鏡さんは背後霊をいっぱい背負っているんだよ」カモさんの言葉に、 鏡は曖昧にうなづき…やがて、ギョッとして飛び上がった。「背後の霊?!」

※ここは笑うところである。見事なダブルテイクである(=あとで言葉の意味に気付いてギョッとする事)

カモさんは、真面目なのか冗談なのか分からない顔つきで幽霊話を続けた。 「いや、ホントだぞ、若いの…そもそも私が夜中に鏡さんを見つけたのも、 その聖麻の民人の霊が手引きしたお蔭でなあ」

カモさんは、「…私が気になってるのは、そこの霊だな」と言葉を続け、 鏡の背後の一点に確かな視線を向けた。「見えてるんですか、カモさんは!」と、慌てる鏡である。

カモさんは、なおもその一箇所を眺めつつ、「霊格がとても高い…聖麻の国の主と見るがね、 聖麻の神が何故に王家の許を離れて、一介の鏡職人に憑いているのか」と意味深に述懐して見せたのであった。


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