深森の帝國§総目次 §物語ノ本流 〉第一部 第一章(頁.2-3)

第一部 第一章 頁.2-3.縁側にて、茶飲み話…舶来の不思議な掛け軸など

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旅の青年・鏡と、二人の老人の計三名。老人の一方は頭を丸めた裕福な隠居風(民家の主)。 もう一方は頬ひげを生やした放浪の神官風(前夜、青年を助けたのはヒゲの老人)。

隠居風の主人は如才ない雰囲気で、「まあ、おひとつ」と、鏡に茶を勧める。 更に茶目っ気があり、「諸国で宣伝してくださいね、旅人さん!一枚で三度おいしい土山茶」とキャッチコピーを語ってみせた。 …目をぱちくりさせる旅の青年、鏡…

ヒゲの老人がやれやれといった感じで、「彼はもと近江商人だ…無欲庵と号して隠居して仏道に入ったが、 この調子…いつかバチを当ててやるわ」と突っ込んだ。 「まあカタイね、カモさんたら…昨夜はハッキリ仰ったでは無いですか」と無欲庵は茶目っ気タップリに切り返す。 「伊勢参りの折、邪蘇大黒天への商売繁盛祈願、請け負いますと…私これでも、 縁の者に譲った店の後先を心配しとりますのよ」ヒゲ老人・カモさんは、辟易して頭を抱えた…

花洛におられるヨシヤ大教主どのが卒倒しそうな話である…と、ひとりごちる鏡である…

やがて、部屋の妙な掛け軸に目が向く…「この掛け軸は?」と問う鏡。 「ああ…その掛け軸ですか…業者いわく天竺渡りの品ですね」と無欲庵は説明した。 「波斯(パーシー)の品だとも言われてますが、大陸の偽物市場を通っておりますのでね」

実際に描かれているのは杖を携えたエジプトの女神の模写であったが、 遠い極東の島国にとっては、全く未知の絵だ。鏡は「これは…巫女さんのようですが…」と、しげしげと眺め続けた。 「とても古い女神さんだそうですよ…パーシーの」と答える無欲庵である(どうやら、 この絵が無欲庵の元に渡ってきたルートには、謎めいた事情があるようだ)

カモさんは後頭部を掻きつつ、不思議な絵について「パーシーとは別だろう」と意見した。 「京の祇園祭の山鉾に使う胴掛も、パーシー渡りの品だが…感じがかなり異なっている」


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